おもてなしの心
2009年 12月 03日
Hospitality を日本語訳にすると、「親切なもてなし、歓待、厚遇」 または 「無料の食事つき宿泊」 とでてきます。
人によってそうした意味合いは変わってくると思いますが、ホスピタリティのマインドにそった実例はたくさんの場所で見られると思います。
ここで、いくつかの実例を挙げてみようと思います。実際に体験したことですから、なかなか臨場感があって面白いと思いますよ。
特にサービス業で働く方にとっては、こうしたマインドは大切だと思います。お客様だけでなく自分の意義のためにも、ぜひ気軽に読んでください。
以前ホテルで働いていたときのことです。私は当時レセプショニスト(フロント係)として働いていました。
深夜の2時頃、宿泊中の男性からフロントへ問い合わせがありました。そのお部屋のお客様はカップルで宿泊中。男性は、一緒に宿泊中の女性が体調を壊してしまい、病院へ行きたいとの事。
ならば救急車?とストレートに思うのですが、お客様は救急車はできれば避けたいとの事。
私は多くを聞かず、とにかく何かの理由があるのだと感じ、「探します」と伝え電話を置きました。
流石に遅い時間帯でなかなかみつかりませんでしたが、そうした救急の患者を受け入れてくれる先を探してくれる機関がありました。 その機関に問い合わせて数十分後、なんとか受け入れ先の病院を見つける事ができ、再度女性の容態を聞いてお客様の名前で予約をとりました。
そしてタクシーを呼び、タクシーにはもちろん行き先を事前に伝えておき、お部屋でお待ちのお客様に連絡しました。数分後、二人はエレベーターでおりてこられました。女性は男性に支えられぐったりとしている様子でした。
タクシーまで見送ったとき、男性から「部屋を汚してしまった」と言われました。それでは確認しておきますと伝え見送りました。
二人を見送った後、部屋に向かった私は目を見張りました!
ベッドの上がまさに血の海だったからです。 これは、定かではないが流産とかそうした類だろうか。 少し考えて私は部屋の電話からすぐに連絡を取りました。連絡先は常駐のハウスキーピングのオフィス。遅い時間でしたが、幸いハウスキーパーのスタッフの一人がまだ残っていました。事情を話し部屋まで来てもらい、お客様が帰ってくるまでに整えましょうと、ベッドの布団・シーツまで全てを交換し、慌てたせいか散らかっていた部屋の中を片付けました。
ひょっとしたら、その布団・シーツは二度と使うことができないかもしれないから、その費用を請求しなくてはならないかもしれない。
だけれど、その時にあった気持ちは、体調を壊し病院へ行った二人が戻ってきたとき、再びこのホテルへ来たときと同じように安らいだ気持ちになって欲しい という気持ちでした。そうして私とそのハウスキーピングのスタッフは部屋を数十分かけて整えました。遅い時間にもかかわらず喜んで手伝ってくれたスタッフにも感謝でした
1時間ほど経って電話が鳴りまし。それは先ほどの男性からでした。男性いわく、もう少し遅れていたら手術に至るほどの容態であったらしい。しかし、幸い女性は大事には至らず、今は点滴をうち、もう1時間後には帰ってこれるだろうということでした。
ほっと胸をなでおろしました。そして、その後もフロントで業務をおこなっていると、二人はタクシーで帰ってこられました。女性はまだ多少ふらつきが見られましたが、自分の足でちゃんと歩いていました。随分よくなった様子でした。私を含めスタッフは多くを語らず、部屋でゆっくりお休みくださいと促しました。
翌日、朝が来てマネージャーに詳しく事の成り行きを報告しました。女性のマネージャーでした。話はわかったが、やはり布団やシーツに関しては費用を請求しなければならないかもしれないと、お客様のチェックアウトの時に立ち会うといいました。
昼頃、そのお客様が降りてきました。私はシフトは終わっていましたが、心配で残っていました。二人とも今朝は普段と変わらない様子でした。フロントスタッフはマネージャーを呼び、お客の男性とマネージャーとが応接用の席で話をしていました。布団・シーツの費用のこともあるからです。
余談ですが、布団は海外のブランド物で一組10万円近くはするものでした。
話の様子をみていると、その女性のマネージャーはうんうんとうなずきながら、急に泣き始めました。そして、その後お客様は普通のチェックアウトと同じように宿泊代などを支払いホテルを後にして出発されました。
お客様が発たれた後、マネージャーに事の次第を聞くと、布団やシーツを汚してしまったことへの費用請求に関して、向こうから切り出してきたそうです。
二人は実は結婚前の旅行で、自分たちも九州の温泉地で旅館の経営をしているとの事でした。加えて男性は水墨画をたしなんでいるとのこと。二人はこの新しくできたこのホテルのうわさを聞き、勉強のためも含め、参考のために宿泊に来ていたのでした。婚前最後の旅行を楽しみたいという思いも強くあったそうです。
そのような折に、突如あのような状態になってしまい、せっかくの宿泊もこれで台無しになってしまったと二人とも諦めていたそうでした。病院で女性は涙ながらに謝ってきたそうです。
しかし、遅い時間にも関わらないスタッフの心からの対応。心遣いのある病院の手配。深夜なのに、病院から帰った自分たちを笑顔で気遣いながら迎えてくれた多くのスタッフ、実は宿泊のフロントスタッフだけでなく、ドアやポーターのスタッフとも必要な範囲で情報共有していたのです。
そして、部屋に戻ったとき、あの血の海のような惨状を予想していたら、予想外にきれいに片付けられており、まるでこのホテルに来たときと同じ様子。遅い時間からだったけどあらためてホテルを楽しむことができた、そう言われたそうでした。 そして、汚してしまった布団やシーツの費用は後から決まったら請求してもらっていい。 ただ、今回の心のこもった対応をしてくれたスタッフの皆さんへのお礼として、水墨で色紙にメッセージを書いたものを送ってくれました。 ※残念ながらメッセージは忘れてしまいましたけどね♪♪
そうした心の移り変わりのなど、全ての事情を聞き、そして色紙を受け取り、マネジャーは涙せずにはいられないほど感動したらしかった。 私は流石に泣きませんでしたが、自分が取った行動は間違いではなかった、何よりそのお二人にホテルを楽しんで頂けたことがうれしくて、とても誇らしく思いました。
忘れられない出来事の一つです。
そして、マネージャーは感動のあまり、布団やシーツの御代なんかいいです と、言ってしまっていました
こうしたスタッフの気持ちをホスピタリティとよぶのだと思います。そこに何か理屈や理由がなくとも、喜んで欲しい、楽しんで欲しい、そうした気持ちがあるからこそ生まれてくる行動です。 また、そうした気持ちがある事で、単に仕事としてだけでなく、自己のやりがいや満足感にも繋がっていきます。
また、それに関しては考えていきたいと思います。
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人によってそうした意味合いは変わってくると思いますが、ホスピタリティのマインドにそった実例はたくさんの場所で見られると思います。
ここで、いくつかの実例を挙げてみようと思います。実際に体験したことですから、なかなか臨場感があって面白いと思いますよ。
特にサービス業で働く方にとっては、こうしたマインドは大切だと思います。お客様だけでなく自分の意義のためにも、ぜひ気軽に読んでください。
以前ホテルで働いていたときのことです。私は当時レセプショニスト(フロント係)として働いていました。
深夜の2時頃、宿泊中の男性からフロントへ問い合わせがありました。そのお部屋のお客様はカップルで宿泊中。男性は、一緒に宿泊中の女性が体調を壊してしまい、病院へ行きたいとの事。
ならば救急車?とストレートに思うのですが、お客様は救急車はできれば避けたいとの事。
私は多くを聞かず、とにかく何かの理由があるのだと感じ、「探します」と伝え電話を置きました。
流石に遅い時間帯でなかなかみつかりませんでしたが、そうした救急の患者を受け入れてくれる先を探してくれる機関がありました。 その機関に問い合わせて数十分後、なんとか受け入れ先の病院を見つける事ができ、再度女性の容態を聞いてお客様の名前で予約をとりました。
そしてタクシーを呼び、タクシーにはもちろん行き先を事前に伝えておき、お部屋でお待ちのお客様に連絡しました。数分後、二人はエレベーターでおりてこられました。女性は男性に支えられぐったりとしている様子でした。
タクシーまで見送ったとき、男性から「部屋を汚してしまった」と言われました。それでは確認しておきますと伝え見送りました。
二人を見送った後、部屋に向かった私は目を見張りました!
ベッドの上がまさに血の海だったからです。 これは、定かではないが流産とかそうした類だろうか。 少し考えて私は部屋の電話からすぐに連絡を取りました。連絡先は常駐のハウスキーピングのオフィス。遅い時間でしたが、幸いハウスキーパーのスタッフの一人がまだ残っていました。事情を話し部屋まで来てもらい、お客様が帰ってくるまでに整えましょうと、ベッドの布団・シーツまで全てを交換し、慌てたせいか散らかっていた部屋の中を片付けました。
ひょっとしたら、その布団・シーツは二度と使うことができないかもしれないから、その費用を請求しなくてはならないかもしれない。
だけれど、その時にあった気持ちは、体調を壊し病院へ行った二人が戻ってきたとき、再びこのホテルへ来たときと同じように安らいだ気持ちになって欲しい という気持ちでした。そうして私とそのハウスキーピングのスタッフは部屋を数十分かけて整えました。遅い時間にもかかわらず喜んで手伝ってくれたスタッフにも感謝でした
1時間ほど経って電話が鳴りまし。それは先ほどの男性からでした。男性いわく、もう少し遅れていたら手術に至るほどの容態であったらしい。しかし、幸い女性は大事には至らず、今は点滴をうち、もう1時間後には帰ってこれるだろうということでした。
ほっと胸をなでおろしました。そして、その後もフロントで業務をおこなっていると、二人はタクシーで帰ってこられました。女性はまだ多少ふらつきが見られましたが、自分の足でちゃんと歩いていました。随分よくなった様子でした。私を含めスタッフは多くを語らず、部屋でゆっくりお休みくださいと促しました。
翌日、朝が来てマネージャーに詳しく事の成り行きを報告しました。女性のマネージャーでした。話はわかったが、やはり布団やシーツに関しては費用を請求しなければならないかもしれないと、お客様のチェックアウトの時に立ち会うといいました。
昼頃、そのお客様が降りてきました。私はシフトは終わっていましたが、心配で残っていました。二人とも今朝は普段と変わらない様子でした。フロントスタッフはマネージャーを呼び、お客の男性とマネージャーとが応接用の席で話をしていました。布団・シーツの費用のこともあるからです。
余談ですが、布団は海外のブランド物で一組10万円近くはするものでした。
話の様子をみていると、その女性のマネージャーはうんうんとうなずきながら、急に泣き始めました。そして、その後お客様は普通のチェックアウトと同じように宿泊代などを支払いホテルを後にして出発されました。
お客様が発たれた後、マネージャーに事の次第を聞くと、布団やシーツを汚してしまったことへの費用請求に関して、向こうから切り出してきたそうです。
二人は実は結婚前の旅行で、自分たちも九州の温泉地で旅館の経営をしているとの事でした。加えて男性は水墨画をたしなんでいるとのこと。二人はこの新しくできたこのホテルのうわさを聞き、勉強のためも含め、参考のために宿泊に来ていたのでした。婚前最後の旅行を楽しみたいという思いも強くあったそうです。
そのような折に、突如あのような状態になってしまい、せっかくの宿泊もこれで台無しになってしまったと二人とも諦めていたそうでした。病院で女性は涙ながらに謝ってきたそうです。
しかし、遅い時間にも関わらないスタッフの心からの対応。心遣いのある病院の手配。深夜なのに、病院から帰った自分たちを笑顔で気遣いながら迎えてくれた多くのスタッフ、実は宿泊のフロントスタッフだけでなく、ドアやポーターのスタッフとも必要な範囲で情報共有していたのです。
そして、部屋に戻ったとき、あの血の海のような惨状を予想していたら、予想外にきれいに片付けられており、まるでこのホテルに来たときと同じ様子。遅い時間からだったけどあらためてホテルを楽しむことができた、そう言われたそうでした。 そして、汚してしまった布団やシーツの費用は後から決まったら請求してもらっていい。 ただ、今回の心のこもった対応をしてくれたスタッフの皆さんへのお礼として、水墨で色紙にメッセージを書いたものを送ってくれました。 ※残念ながらメッセージは忘れてしまいましたけどね♪♪
そうした心の移り変わりのなど、全ての事情を聞き、そして色紙を受け取り、マネジャーは涙せずにはいられないほど感動したらしかった。 私は流石に泣きませんでしたが、自分が取った行動は間違いではなかった、何よりそのお二人にホテルを楽しんで頂けたことがうれしくて、とても誇らしく思いました。
忘れられない出来事の一つです。
そして、マネージャーは感動のあまり、布団やシーツの御代なんかいいです と、言ってしまっていました
こうしたスタッフの気持ちをホスピタリティとよぶのだと思います。そこに何か理屈や理由がなくとも、喜んで欲しい、楽しんで欲しい、そうした気持ちがあるからこそ生まれてくる行動です。 また、そうした気持ちがある事で、単に仕事としてだけでなく、自己のやりがいや満足感にも繋がっていきます。
また、それに関しては考えていきたいと思います。
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by lovely_smile094
| 2009-12-03 03:31
| ホスピタリティ